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近年の研究で、さまざまな病気の背景には、内因性カンナビノイドの不足が影響していることが明らかになっています。「エンドカンナビノイド欠乏症」と呼ばれる状態で、これを予防・改善することが心身の健康に大きくかかわってきます。
ここではエンドカンナビノイド欠乏症が気になる人のために、エンドカンナビノイド欠乏症の原因と、内因性カンナビノイドの出し方を紹介します。
このテーマの基礎知識となるエンドカンナビノイドシステムについても、分かりやすく簡単に解説します。
エンドカンナビノイドシステム(内因性カンナビノイドシステム)とは
心身のバランスを調整し、恒常性を保つ
エンドカンナビノイドシステムとは、体のホメオスタシス(恒常性)を保つための機能です。「ECS」、「内因性カンナビノイドシステム」ともいいます。
ヒトを含む、すべての脊椎動物に備わっています。
仕組みとしては体内で生成された「内因性カンナビノイド(エンドカンナビノイド)」が、細胞内の受容体に作用することによって、細胞に適切な指示が与えられるというものです。
その結果、心身のバランスが調整され、健康が保たれるのです。
“幸せホルモン”の一つともされる内因性カンナビノイドは、これまでに「アナンダミド」と「2-AG」の2種類が発見されており、それぞれの働きも解明されています。
- アナンダミド:痛み・不安の緩和、感情の安定、喜び・多幸感
- 2-AG:局所的な抗炎症作用、免疫反応の調整
2つの受容体と分布箇所
参照元:日本臨床カンナビノイド学会
体の中には多くの受容体が存在しますが、このうち「CB1」、「CB2」の2種類が、内因性エンドカンナビノイドの受容体です。
受容体は「レセプター(リセプター)」、または「受容細胞」とも呼ばれます。
受容体の種類によって、作用するエンドカンナビノイドの種類と分布箇所も異なります。
- CB1:アナンダミドが主に作用。主として中枢神経系(結合組織、腺、子宮、心臓血管、消化管、骨、肝臓、脳)に分布。
- CB2:主に2-AGが作用。主として末梢神経系(免疫細胞、消化管、脳、すい臓、肝臓、心臓、腎臓、骨、血管、リンパ腺、内分泌腺、生殖器官)に分布。
エンドカンナビノイド欠乏症とその症状
エンドカンナビノイド欠乏症とは
エンドカンナビノイド欠乏症とは、体内の内因性カンナビノイドが不足することで、ECSが十分に機能しなくなる状態のことをいいます。
ECSは意思決定・認知機能・感情・学習・記憶・運動調節機能・不安・ストレス・恐れ・食欲や睡眠・性行動・疼痛・免疫・発達・老化に影響する大切なものです。
そのためカンナビノイドの不足でECSが正常に機能できなくなれば、さまざまな不調や病気を引き起こしやすくなります。
なおエンドカンナビノイド欠乏症は、「内因性カンナビノイド欠乏症」ともいいます。
エンドカンナビノイド欠乏症の症状
「エンドカンナビノイド欠乏症」に陥ると、癌、認知症、Ⅱ型糖尿病、心臓病、腸疾患、自己免疫疾患、統合失調症などの精神疾患、自閉症スペクトラムに代表される発達障害などを引き起こす可能性が指摘されています。
ですがECSと内因性カンナビノイドについては、80年代に研究が始まったばかりで、まだすべてが明らかになったわけではありません。
そのためここに挙げていない他の疾患でも、エンドカンナビノイド欠乏症が原因になっている可能性も考えられます。
そもそもECSと内因性カンナビノイドが影響する範囲はとても広いため、「なんだか調子が悪い」というときは、エンドカンナビノイド欠乏症を疑ってみてもよいかもしれません。
エンドカンナビノイド欠乏症の原因
エンドカンナビノイド欠乏症の原因には、加齢、ストレス、栄養障害、有害金属の蓄積などがあります。
内因性カンナビノイドの出し方
規則正しい生活とバランスのよい食事
内因性カンナビノイドをしっかり分泌させるにはまず、規則正しい生活とバランスのよい食事を心がけることが大切です。
職業上の理由などで難しい場合も、自分ができる範囲でなるべく健康的な生活を意識してみるとよいでしょう。
例えば食事を同じものばかり食べないようにするだけでも、有害金属が溜まりにくくなるため、エンドカンナビノイド欠乏症の予防に役立ちます。
部屋や寝具も清潔にして、快適に眠れるように工夫してみましょう。カンナビノイド欠乏症の原因となる不眠やストレスの改善に繋がるはずです。
ランニングをしてみる
マラソンなどで長時間走り続けているときに起こる、ランナーズハイという言葉を聞いたことがあると思います。あの現象についてこれまでは、脳内麻薬のエンドルフィンが原因といわれていました。
しかし最近の研究では、ランナーズハイのときはエンドルフィンだけでなく、内因性カンナビノイドも分泌されることが分かっています。
したがって体力のある人は、内因性カンナビノイドを出すためにランニングをしてみるのもおすすめです。走り方は全力の70~80%、心拍数120程度が目安。軽く息が上がるくらいの状態で、苦しさのピークが過ぎるまで走り続けてみましょう。
軽い運動や日光浴もおすすめ
「ランニングをするほど頑張れない」という人は、ウォーキングやストレッチなどの軽い運動でもOKです。
直接的に内因性カンナビノイドを出す方法ではありませんが、体の若さを保ち、ストレスが軽減されることで、エンドカンナビノイド欠乏症の予防に繋がります。
特にウォーキングなどのリズム運動や筋トレは、セロトニンの分泌を促すため、ストレス解消やうつ状態の改善に役立ちます。
運動が苦手なインドア派におすすめなのは、「ステッパー」と呼ばれる運動器具で歩く方法です。夜遅くでなければ、集合住宅でも家の中で手軽にできます。
日光浴もおすすめ。日光を浴びることで、体内のカンナビノイド量が増えることが分かっています。
植物性カンナビノイドを摂取する
内因性カンナビノイドを出すのとは違いますが、CBDなどの植物性カンナビノイドを摂取するのもよい方法です。
不足した内因性カンナビノイドの代わりに受容体を刺激するもので、オイルやリキッド、皮膚クリームなどさまざまな形状のものが市販されており、ネットでも簡単に手に入ります。
一部の医療機関でも取り扱っているので、近くに該当機関があるようなら相談してみるとよいでしょう。
ただし以下の薬を服用している人は、CBDは使用できません。
- 抗生物質
- 抗てんかん薬
- 抗うつ剤
- ステロイド
- 抗ヒスタミン剤
- 免疫抑制剤
- 抗不整脈薬
妊娠・授乳中の人への使用もまだ安全性が証明されていないため、控えておいた方がよいでしょう。
まとめ
エンドカンナビノイド欠乏症の原因には、加齢、ストレス、栄養障害、有害金属の蓄積などがあります。
したがって内因性カンナビノイドをしっかり出して、エンドカンナビノイド欠乏症を防ぐには、規則正しい生活とバランスのよい食事を心がけることが大切です。
ランナーズハイと呼ばれる状態のときも内因性カンナビノイドが分泌されるので、ランニングをするのもよい方法です。
より手っ取り早い方法としては、CBDなどの植物性カンナビノイドを摂取する方法もあります。
植物性カンナビノイドでもっとも多く流通していて、入手しやすいのはCBDです。店頭やネットで市販されている他、一部の医療機関でも取り扱われています。